国益としての“食”

今週は大変忙しく、
なかなかデイリーアイをアップする時間がとれず、
ずいぶんと、間が空いてしまいました・・・。

さて、本日は、「食」のお話を。

7月26日号の週刊ダイヤモンドに
吉野家ホールディングス社長
安倍修仁氏のインタビューが掲載されています。
安倍社長、なかなかよい提言をしていますよ。

「自給率アップ」の問題について、
「あらゆる品目で、総花的に自給率を上げたところで、
日本の農業の活性化に直結しない。」

農業促進という目的があり、
その手段として自給率を上げるのが
本筋であるべきなのに、
自給率アップ自体が目的化しているというわけです。

そこで、
国益を優先させるという“強い意志”を持って、
日本の農業の工程表を作り直すべきと主張しています。

具体的には、
@絶対に育てなければならない作物(マスト)
A日本の土壌に適しており、
  育成したほうがよい作物(ベター)
B割り切って育成しない作物(切捨て)
の3つに分類して、
自給率アップをはかるべきと述べています。

@の代表格は、もちろんコメです。
そして、Bの代表格は小麦や畜産物。

牛丼販売をビジネスにしている安部社長が、
畜産農家を敵にまわすような発言をするとは、
なんとも大胆でありますが、
その主張は、正論です。

牛一頭から取れる約200キログラムの
牛肉を生産するためには、
トウモロコシ2.2トン、水200トンという
膨大な原料が必要になるわけで、
輸入した飼料を使い、
貴重な水資源を費やして畜産を行うことが、
はたして、日本の農業に必要なことなのか
というわけです。

考えてみると、日本には世界に誇れるブランド牛が
多く存在します。
前沢牛、山形牛、神戸牛、松阪牛等々。
しかし、高品質の牛を育てるためには、
より多くの飼料が必要になるのも事実です。

これから、さらに食料不足が進行したら、
高級牛などとは言っていられませんね。
やはり、コメを「どげんかせんといかん」
のではないでしょうか。

話は変わりますが、今、世界の株式市場では、
既存の考え方が通用しない
パラダイムシフトが起こっています。
今までは、地味で儲からない
農業関連株やクリーンエネルギー関連株、
水資源関連株などが、大きく値上がりしています。
マーケットの世界では、
今後来るべき社会の大変化を
織りこみにいっているわけです。

お金の世界と違って、
農業は、自然を相手にする仕事なので、
結果がでるまでに、時間がかかります。
安倍社長のいうように、国益を考えるのなら、
今すぐにもでも、
目前にせまっている食料問題対策のために
大きく舵をきらなければならないと思います。

それから、消費者の意識も
変える必要があると思います。
最近は、食品偽装問題に神経質になりすぎて、
必要以上の無駄を生んでいるのではないでしょうか。

外食産業関係者の話によると、
行政指導によって、
たとえば、5日間は食べられるケーキの賞味期限を
3日に短縮しなければならないといった
無駄が多発して、
食品廃棄物の量が増えているそうですよ。

外食産業やスーパー、家庭の食品関連ゴミを
合計した1年間の食品廃棄物は、
1900万トンにものぼるそうです。
国連世界食料計画日本事務所のデータによると、
人が1日に必要な食物摂取量は
約500グラムとされているので、
単純に計算しても380億人分の食料に
匹敵することになります。
計算まちがっていないですよね。

農林水産省の調査によると、
結婚披露宴では約23%、
宴会では15%もの食品が、
口を付けられることなく廃棄されています。

宴会では、食べ物が少ないと体裁が悪いというこで、
料理の量は2〜3割程度残る量を準備するそうです。
結婚披露宴になると、
招待客1人に2人分の料理を
頼む客もいるというからびっくり。

結婚披露宴の料理の廃棄率には地域差があります。
中国・四国地方や九州・沖縄地方では17%台。
逆に豪華な結婚式を好む東海地方では、
32%を越えるとのこと。

最近は、食料品の価格が目に見えて上昇し、
毎日の生活にダイレクトな影響を与えているため、
日本の農業や食品廃棄の問題など
“食”について考える人が増えていると思います。
これは、大変よい機会ですから、
国益としての“食”を直視する必要が
あるのではないでしょうか。

(2008/7/25 記)