サカタのタネ

デイリーアイをご覧頂いている方は、
よくご存知のことと思いますが、
私は、メジャーなものよりニッチなもの、マイナーなものを
好む傾向があります。
あまり、人から注目されない物や人物が、
少しずつメジャーになってゆく過程を
ワクワクしながら見ているのが大好きなのです。

そんな、地味系の企業を見つけてしまいました。
「サカタのタネ」です。
今朝の日経の隅っこの方に、
2009年5月期の連結純利益が
前期比3.4倍の10億円になる見通しだ
という記事が載っていましたね。

そして、同じ財務面に
『農業関連株にぎわう』
という記事も掲載されていました。

5月28日のデイリーアイ「肥料株上昇」でご紹介した
カナダの肥料大手、ポタッシュや
肥料製造大手のコープケミカルなどが
取り上げられています。

派手な動きをしている海外勢に比べて、
日本の農業関連株として取り上げられている
井関農機とサカタのタネはちょっと力不足。

しかし、サカタのタネはすごいんですよ。
折りしも、今週の「がっちりマンデー」で
紹介されていましたが、
いったいどこがすごいのか、
ポイントをまとめてみました。

1.高いシェア。(消費者独占型)
2.遺伝子組み換えは行わず、時間はかかるものの
  交配のみで、優れた作物の品種を開発する。
3.タネとガーデニング関連事業という
  2つの事業の柱を持っている。
4.原種を持っている。

少し、補足します。

サカタのタネは、種苗というニッチな市場で、
独占的なビジネスを行っています。
例えば、サカタのタネが開発した
ブロッコリーの品種の世界シェアは60%。
国内のほうれん草の50%、ピーターコーンは100%、
プリンスメロンは100%のシェアを持っています。

遺伝子組み換えを行っていないことも大きな強みです。
遺伝子組み換え技術を使えば、確かに
時間をかけず、効率的に
優れた種子を作ることは可能です。
しかし、その安全性には常に疑問がつきまといます。

交配を何度も繰り返し、
10年〜15年という時間と手間をかけて
優れた種子を作ることは、非効率な作業ともいえますが、
その分、種子が完成すれば、見返りが大きく、
ロングランの商品となる確立が高いそうです。

たとえば、プリンスメロンは
開発から40年以上たった今でも
売れ続けているそうですよ。
一見、非効率なビジネスは、
競合他社が参入してくる可能性が低いので、
一度、ビジネスモデルを確立してしまえば、
独占的なビジネスが可能になるというわけです。

種子販売は、
1度売ってしまったらそれっきりという
単発のビジネスではありません。
農家は、野菜やくだものの高い品質を維持するために、
毎年、繰り返し、種子を購入する必要があり、
1度、ビッグヒット商品が出れば、
安定的な収益を生み出してくれるのです。
もちろん、世界を相手に商売することも可能です。
ブロッコリーがよい例ですよね。

ガーデニング事業も好調です。
その中でも最近特に注目を集めているのが、
サカタのタネが開発した草花「サンパチェンス」です。
色鮮やかで南国を思わせるような
可憐なお花なのですが、
自動車などの排ガスに含まれる二酸化窒素や
シックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒド、
地球温暖化の原因とされているCO
吸収する能力を持っています。。

サカタのタネの実験によると、
従来の園芸植物と比べて、
二酸化窒素で5〜8倍、
ホルムアルデヒドは3〜4倍、
CO2では4〜6倍もの高い吸収率が
実証されたそうです。
サンパチェンスの表面温度を
サーモカメラで計測したところ、
地面の温度よりも10℃以上も低く、
温度降下能力も備えているそうです。
5月に販売して、あっという間に完売だそうで。
売上の規模は海外を含め、まだ2億円程度ですが、
今後の成長商品になることは間違いなしですね。

しかし、なんといっても
サカタのタネの最もすごいところは、
何千種類か、何万種類なのかわかりませんが、
野菜やくだものの原種を持っているということです。
原種というのは、交配前の親のタネのことです。
この原種の保管場所は、サカタのタネにとっての
最重要機密で、一般の社員にすら
そのありかは知らされていません。

今や、世界の作物の多くは
遺伝子組み換えの技術が利用されています。
また、地球温暖化が進み、
種の絶滅がの危機が叫ばれる環境下において、
原種の価値は、今後大きく上昇することでしょう。
人類の財産といっても過言ではないと思うのです。
ある意味、レアメタルかそれ以上に
価値のあるものかもしれません。

私は、今後、時間の経過と共に
サカタのタネの企業価値が
高く評価されるようになるだろうと
強く思っています。

(2008/7/16 記)