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リンがない!
「リン」という言葉を聞いて、何を思い浮かべますか。 やはり、真っ先に思い浮かぶのは、 化学肥料ですよね。 5月28日のデイリーアイ「肥料株上昇」でもご紹介しましたが、 リンは鉱物です。 残念ながら、日本での産出量はゼロで、 100%輸入に頼っています。 輸入先の内訳は以下の通りです。 中国 2万6094トン オランダ 1672トン ベトナム 840トン ドイツ 17トン 合計 2万8624トン (出所 : 財務省「貿易統計」) この数字を見てもおわかりの通り、 ほぼ、9割を中国から輸入しています。 このリン、実は工業用の用途が広く、 自動車ボディ表面処理、半導体製造、 液晶パネル製造、医薬品、食糧添加物などに 利用されています。 このリンの決定的な不足局面が、 7月にも発生する可能性があるといいます。 そうなると、上記の工業用品は 生産停止に追い込まれてしまいます。 いったい、なぜこんなことになってしまったのでしょうか。 このような事態に陥った背景には、 いくつかな不幸な偶然が重なっています。 まず、中国政府当局が 5月20日にリンの輸出税率を20%から 一気に120%に引き上げると発表したことが、 事の発端となりました。 5月21日から12月31日までの時限措置ということですが、 リン製品メーカーには激震が走りました。 日本の代表的なリン製品メーカーは、 三井化学系の下関三井化学、 東ソー系の燐化学工業、 日本化学工業、ラサ工業ですが、 すぐに取引先に値上げを要請します。 そこに、四川大地震が起こりました。 発生したのが5月12日。 リンの供給はストップされました。 リンは、上海港と坊城港から輸出されますが、 最大産出地である雲南から港までの輸送網が 完全に寸断されてしまったのです。 気象の関係で、リンは、水力発電が確保できる 6月から生産が始まるそうです。 まさに、生産開始の直前に 大地震に見舞われたわけです。 大地震発生時点で 仮に2ヶ月分程度の在庫があったとしても 産出地である雲南省や四川省からの陸路が 復旧しなければ、 7月中には、完全に在庫切れに陥ります。 もう1つ、運の悪いことには、、 8月の北京オリンピックでは、 リンは危険物扱いとなっており、 その間、上海港からの輸出は出来なくなります。 「それなら、他の国から輸入すればいいじゃないか」 という話になるわけですが、 中国以外の国からの調達は難しいのが現状です。 肥料向けのリンの需要が高まっているため、 輸出に応じてくれる国がないのです。 リンの在庫払底問題について、 クライアントサイドの危機意識はかなり薄いようです。 よけいにお金を出せば買えると思っています。 しかし、「モノ」がないのですから、 どうにもなりません。 もし、懸念が現実のものとなったら、 日本の主要産業である自動車や半導体製造に 大きな支障がでます。 当然、日本の経済や株価にも影響がでてきます。 これは、かなりの一大事。 成り行きを注視する必要があります。 (2008/7/2 記) |